地盤陥没と崩落(5/13更新)
並木地区の復旧工事対策に係わった橋本教授の論文がありました(R4.5.13)
1882_4013_013_04.pdf (5.44MB)
【1 地域住民から】
今回のこの地区の地震による地盤陥没及び崩落については、各方面から専門家の見解が示されていますが、
自然災害では何が起こるかわかりません。
住民目線で気になっていたことを挙げておきます。
一つに、並木3丁目地区の近くを流れる大曲川の河川の浸食です。
川は建ち並ぶ家々の裏側に位置し、5メートルほどの間知石を積んだ擁壁そばを流れていました。
この地に越してきた26年前には擁壁と川までの距離は10メートル以上あり
川は歩いて渡れるほどの深さで川岸との高さも背丈ほどありました。
ところがここ数年で浸食が急速に進み川がどんどん家の側に寄ってきていたのです。
更に、当初は乾いていた川岸の土がいつの頃からか水芭蕉が群生するほどの湿地帯になり
常に水たまりができた状態になっている場所が何箇所も出来始めました。
最近の風水害の多さに危険を感じたので北広島市に連絡しましたが、
すぐには対処してもらえませんでした。
その間、雪解け水や台風の大雨などで更に川の蛇行は変化してゆくばかり。
家に向かって流れてきては岸を削り、向こう岸には大量の土がどんどん堆積していきました。
訴えてから3年目にあたる一昨年の12月、ようやく工事が始まり
流れが寄ってきていた場所に土嚢袋を6個置いていただきました。
そして流れをまっすぐにするために川岸と川底を掘削しましたが
その分、川との距離が近くなりました。
翌年の春、雪解け水は1段積みの土嚢袋の上を越して、擁壁にあたって流れていました。
水位が下がっても川岸はぬかるんで田んぼのようになり、歩ける状態ではなくなりました。
そして9月の大地震。
土嚢を置いた場所の宅地の被害が1番大きく、その住宅だけが土地ごと陥没していました。
この工事について市は「擁壁の安全性は考えていなかった」「出来得る工事をした」と説明しました。
二つ目は夏から始まった水道管の交換工事。
この場所は「漏水が多いので地震に強い水道管に交換する」という話でした。
道路を掘り工事を始めたのですが、何日も何日も朝掘っては夕方には埋め戻す作業ばかりで一向に進まない様子。
掘ると水が大量に湧いて来るので、水を吸い上げて鉄の板で回りを抑えながら作業をしていたようです。
掘っては水を吸い上げ埋め戻す、掘って吸って埋め戻すを何日も繰り返していました。
最終的に水道管は交換できずに「命の危険を感じるので」とそのまま工事をやめて埋め戻されました。
そして9月の地震。
工事をしていたそばの車庫前は30センチ下がり、マンホールが道路より高くなり
その近辺の家々の玄関前が陥没したり、家が傾き大規模半壊となった住宅もありました。
今でもその沈下は継続中で、雨の度に道路際の擁壁はどんどん沈んで波うってきています。
のちの水質検査で再び掘ったところ、地表から70センチの深さで水が湧きだしました。
水道管はあの時のままで、今も工事は行われていません。
三つ目は予想もしなかった埋め殺しの擁壁が家の前に現れたこと。
この擁壁は40年以上前に宅地造成された際、第1期の造成で作られたもので
時期おかずして第2期造成がされてその擁壁を取り除くことなく埋め立てられたのです。
当然、分譲される前のことは知る由もありません。
この擁壁が悪さをして土地を滑らせたということです。
地震の前日、北海道に上陸した大型の台風。
暴風雨で地盤が緩んでいたことと、気圧が高かったことで地下水位が上がっていたところに起きた大地震。
土の中にこういう擁壁があると地滑りを起こしやすいということでした。
またその擁壁が住宅の下を走っていた家が4軒あり、地盤沈下したことによって擁壁のところで住宅が2つに折れました。
知らされていない埋蔵物が見つかったことでいろいろ調べてみたところ
その頃の北広島市は札幌郡広島町だったので今の市には記録がないとのこと。
更に40年以上も前のことで不動産業者も存在しない、申請基準も当時のものだから問題ないし
擁壁を残して埋め立てても違法でもないそうです。
震災後、住人からは地震の少し前から埋め殺しの擁壁そばでは
いつも水たまりが出来ていて乾かなかったとか
湧き出るように砂がたまるようになっていたとの声がありました。
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【2 専門家から】
令和2年10月17日更新
2018年12月27日に興亜開発株式会社(東京都)で出された災害報告書です
参考までに載せさせていただきます